韓国における漢字
Keywords: 韓国における漢字, 1948年, 1970年, 1972年, 1980年代, 1990年代, 1998年, Mozilla, UTF-8
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韓文漢字は、韓国で使用される漢字のこと。繁体字(旧字体)が用いられる。
| 目次 |
漢字を要素とする語彙の日本との違い
韓文漢字のボキャブラリーの大部分は、中国の漢字から移入されたが、一部は韓国で作成されたものもある。
また、多くの科学技術用語は、明治時代以降に英語やドイツ語などの西洋語に対応させて日本で作られた和製漢語が移入されている。
中国や日本との漢語表記の差異
| 英語 | 日本語 | 朝鮮(韓国)語 | 中国(北京)語 | ハングル表記 |
|---|---|---|---|---|
| letter | 手紙 | 片紙 | 信 | 편지 (pyeonji) |
| tissue | 塵紙 | 休紙 | 草紙 | 휴지 (hyuji) |
| gift | 贈り物 | 膳物 | 贈品 | 선물 (seonmul) |
| bill | 証書 | 外上 | 帳單 | 외상 (oesang) |
| dining table | 食卓 | 食卓 | 餐桌 | 식탁 (siktak) |
| cheque | 小切手 | 手票 | 支票 | 수표 (supyo) |
| name card, business card |
名刺 | 名銜/啣 | 名片 or 咭片 | 명함 (myeongham) |
| maid | 女中 | 食母 | 女傭 | 식모 (singmo) |
| prohibit, cancel | 取締、取消 | 禁止, 取消 | 禁止, 取消 | 금지 (geumji) or 취소(chwiso) |
| study | 勉強 | 工夫 | 學習 | 공부 (gongbu) |
| very | 大変 | 大端 | 非常 | 대단 (daedan) |
| prisoner | 囚人 | 囚徒 | 囚犯 | 수도 (sudo) |
| side room | サイドルーム | 舍廊, 斜廊 | 側房 | 사랑 (sarang) |
中国語と漢字の順が異なるもの
| 英語 | 日本語 | 朝鮮(韓国)語 | 中国(北京)語 | ハングル表記 |
|---|---|---|---|---|
| compass | 羅針盤 | 羅針盤 | 羅盤 | 나침반 (nachimban) |
日本語の訓読みの熟語由来のもの
| 英語 | 日本語 | 朝鮮(韓国)語 | ハングル表記 |
|---|---|---|---|
| Aikido | 合気道 | 合氣道 | 합기도 (hapgido) |
| assembling | 組み立て | 組立 | 조립 (chorip) |
| big sale | 大売り出し | 大賣出 | 대매출 (daemaechul) |
| building | 建物 | 建物 | 건물 (geonmul) |
| estimate | 見積もり | 見積 | 견적 (gyeonjeok) |
| share or stock | 株式 | 株式 | 주식 (jusik) |
| match | 試合 | 試合 | 시합 (sihap) |
| cancel | 取り消し | 取消 | 취소 (chuiso) |
| procedure | 手続き | 手續 | 수속 (susok) |
韓国語独自の漢字語
韓国語に、中国熟語を簡化。
| 中国語 | 日本語 | 朝鮮(韓国)語漢字 | ハングル表記 | 來源 |
|---|---|---|---|---|
| 催促 | 促すこと | 促求 | 촉구 | ? |
| 真心 | 真心 | 精誠 | 정성 | 精誠所至,金石為開 |
| 朋友 | 友達 | 親舊 | 친구 | 親朋故舊 |
五十年文字戦争
李氏朝鮮時代では、漢字の知識の有無が知識人と大衆を分け隔てる一線だとされた。李朝末期に、一部の民族主義団体がハングル振興運動を起こしたが、日韓併合により運動の幕を下ろした。
日本統治時代には、日本語による学校教育が実施される一方、朝鮮総督府の主導により朝鮮語・ハングル(諺文)研究が進められ、初等教育へのハングル使用が推進された結果、漢字ハングル混用文の普及を見た。
独立後は、日本語が漢字を使用していたことと、新羅の時代からの冊封体制に対する不満から、漢字を排斥し、国語をハングルのみで表記しようとする機運が盛り上がった。1948年施行の「ハングル専用に関する法律」(略称:ハングル専用法)により、漢字廃止に法的根拠が付与される。「大韓民国の公文書はハングルで書く。ただし、当面の間、漢字を括弧に入れて使用することが出来る」が法律の全文だが、公文書の定義も当面の間の定義もなく、施行規則もなく、違反者に対する罰則規定もないこの法律は、法律でなく宣言文だと解釈する法律家もいる。
李承晩の時代には、小学校段階から漢字教育が行われたが、朴正熙は漢字廃止に傾斜を強め、1970年には漢字廃止宣言を発表、普通教育での漢字教育を全廃した。しかし言論界を中心に全廃への反対が強く、1972年には漢字廃止宣言を撤回し、中学校及び高等学校の「漢文」教育を復活させた。が、あくまで選択科目であり、受験にもほとんど関係がなく、実社会でもほとんど使用されない漢字は、学生たちの学習動機を惹起しなかった。また小学校での漢字教育は禁止され、児童にプライベートに漢字を教えた小学校教員は、国策に協力しない者として懲戒免職などの重い処分を受けた。
1980年代半ばから、韓国の新聞・雑誌も、次第に漢字の使用頻度を落とし始めた。漢字教育をほとんど受けていない世代(ハングル世代)が多数を占め、漢字を使用した出版物が売れなくなったためである。漢字の使用を禁止するのではなく、漢字教育を禁止することにより、一世代かけて漢字を安楽死させようとしたのがハングル専用派の作戦だった。実際、一漢字が一音節である韓国語にあっては、ハングル専用でも日本語における平仮名専用のように長くならないので、漢字廃止は可能かと思われていた。
しかし、韓国語の単語の8割は漢字語である。ハングルで書かれた漢字語を文脈で理解するのは非能率であり、また、抽象的な学術用語を漢字を念頭に置かずに正確に理解することは出来ない。漢字を知らない世代がほぼ完成した1990年代後半から、皮肉にも漢字復活を求める声が勢いを増し、1998年に当時の大統領金大中が漢字復活宣言を発表している。大統領の指示で道路標識や鉄道駅・バス停留所の漢字併記は実現したものの、ハングル専用派の抵抗が根強く、小学校での漢字教育義務付けや若年層での漢字使用日常化は実現していない。
ハングル専用派に気兼ねして公教育が漢字教育を推進できないため、漢字の必要性を感じる韓国の国民は自己負担で漢字塾に通っている。「漢字語をなくすのではなく、漢字語もハングルで書こうと言っている」と主張してきたハングル専用派(中心はハングル学会)も、最近では「全ての学術用語を固有語に翻訳しよう」と主張を変えている。漢字復活派は「漢字教育を確実に行えば、全ての学術用語は見ただけで理解できる」と主張している。
ハングル専用か漢字混用か。世論調査でも国論を二分している韓国にあってはハングル以外に国民統合の象徴が見当たらないだけに、政治家も争点にすることに難色を示す。独立以来続いているこの論争を韓国では「50年文字戦争」と呼ぶ。
