言語学

Keywords: 言語学, 1786年, 1850年代, 1957年, 19世紀, 20世紀, アメリカ合衆国, アメリカ州の先住民族, イングランド

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言語学 (げんごがく; linguistics) は、人類が使用する言語(ことば)の本質や構造を科学的に記述する学問である。

"linguistics"(言語学)の語源は"linguistique"(フランス語)、さらにさかのぼると"lingua"(ラテン語、「舌、言葉」の意)であり、"linguistics"という語は1850年代から使われ始めた (McArthur, 1996)。

現代言語学の目的は、ヒト言語(ことば)を客観的に記述することである。従来の古典ギリシア語ラテン語を模範とした規範的な伝統文法の研究を指すのではない。それに関連して、フィロロジー(文献学)と混同されやすいが、両者は根本的に研究対象が異なる。現代言語学は主に(すべての言語が有する)話し言葉を研究対象とする一方、フィロロジーは主に書き言葉を研究の対象とする比較言語学的な側面を持っている。

現代言語学は、美しさや正しさを指摘する学問ではない。標準語方言を規定したり(言語学では両者を変種として扱う)、俗語や言語の乱れを批判したりするものでもない。言語学は記述的(どうあるべきかには言及しない)である。ゆえに、それらを忠実に記録し、世界に点在する不特定多数の言語はすべて同等に扱われる。野蛮な言語、高度な言語は存在せず、すべての言語はそれぞれの言語社会に密接に関連しているというのが言語学の立場である。

通例、音声学は、その研究方法、内容などから本来の研究分野には含まれないとする考えと、基礎研究に据えて言語学研究のプロとアマを分けるのが音声学の知識の有無とする考えがある。全ての言語(手話等を除く)は音声に基き、音声学の知見が音声以外の研究の幅を左右するとも考えられている。

目次

言語の定義と特徴

言語学ではヒトが話す言語(ことば)を取り扱う。そこで、「ヒトが話す言語」とは何かを明確にする必要があるが、学者らによる"language"(言語)の定義は未だに決着していない。

以下に主要と思われる言語の特徴を記す。

命名の恣意性

ソシュール (1916; Saussure, Ferdinand de) は、「能記」(signifiant)と「所記」(signifié)という2つの概念(シニフィアンとシニフィエ)を用いて言語記号の恣意性を説いた。つまり、「指すもの」と「指されるもの」の間に必然性がないということである(庵、2001)。「イヌ」を『犬』と呼ぼうが、"dog"と呼ぼうが同じことを言っている。社会全体が認めれば「イヌ」を『スーパーマン』と呼んでも問題はない。 「イヌ」というシニフィエが、[i]、[n]、[u]の3つの音素から成立するシニフィアンでなければならない理由がない。記号は社会によって恣意的に決められているのである。

二重性

ヒトの言語は音素から成り立っている。いくつかの音素が集まって意味のある単位(形態素)になる。例えば、日本語の [ame](雨、飴)というは [a]、[m]、[e] の三つの音素からできている。つまり、ヒトの言語は「音素」とその音素からなる「語」という二つの層からできている。しかし、動物(の言語)には音素はなく、ごく限られた音の集合体を発声しているに過ぎない。

転移性

ヒトの言語は過去に起こった事実や未来のことを表現することも可能である。文字の体系を持っていれば、文字に書き留めることによって、後世に伝えることも可能になる。しかし、動物の場合、餌のありかや敵の急襲を知らせるなど現在のことしか伝達できない。

創造性

ヒトの言語の場合、あらゆる情報を伝える手段を持っている。例えば、初めて会った人からまだ行ったことのない外国の話を聞かされても理解することができる。しかし、動物の言語の場合、空腹感や幸福感など決まりきったことしか伝えられない。言葉を無限に創造できるのはヒトの言語における最大の特徴である。

構造の依存性

言語は情報を伝達する手段であり、一定の規則に従う。日本語で「するためには」と言わなければならないところを、「*めすたにるは」と言ったのでは伝わらない。助詞の「は」や「を」は名詞の前ではなく後ろに付けなくてはいけないなどの事例からも決まった構造に依存しているということがわかる。

主要な研究分野

俗に言う文法とはこれら4つの分野の総称である。

対象となる言語(ことば)における主要な対立項

言語学の歴史

19世紀までの言語研究

西洋における言語研究の始まりは紀元前に遡り、ギリシア哲学者たち(プラトンエピクロスなど)の間で起こった言語起源論や修辞学であった。古典ギリシア語文法書は、紀元前1世紀までに完成し、ラテン語のほか後の西洋の言語の文法学(伝統文法、学校文法)に大きな影響を与えた。

言語学が大きく飛躍する節目となったのは、1786年のことである。イングランドの法学者のジョーンズ () は、インドカルカッタに在任中に独学していたサンスクリット語の文法が、以前に学んだギリシア語ラテン語などの文法と類似していることに気づき、「これらは共通の祖語から分化したと考えられる」とアジア協会 (Asiatic Society) で見解を示した。これが契機となり、グリム (Jacob Grimm) ら「青年文法家」による歴史的比較言語学ドイツライプツィヒで興り(19世紀インド・ヨーロッパ語族の概念が確立した(印欧語学)。

現代言語学

20世紀に入ると言語学は大きな変動期を迎えることになる。20世紀初頭にスイスの言語学者、ソシュールの学説に影響を受けた構造言語学が興り通時的な(書き言葉の)研究から共時的な(話し言葉の)研究へと論点が変わっていく。

アメリカの言語学は、人類学者のボアズ ()のアメリカ州の先住民族の言語研究やサピア (Edward Sapir) がさきがけとなった。構造言語学の枠組みは、ブルームフィールド [1] () によって確立する。

1957年チョムスキー (Noam Chomsky) は変形生成文法を提唱し、学界を風靡し、言語学に革変をもたらした。

また、ハリデー [2] ()らの機能言語学や、レイコフ [3] (George Lakoff) らの認知言語学など異なったアプローチも考案された。

関連分野

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言語学者の一覧を参照せよ。

外部リンク

参考資料と関連書籍

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洋書

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