タバコ
Keywords: タバコ, 1967年, 2001年, 2002年, 2003年, 2005年, 2008年, 2月27日, 4月1日, 5月21日
| タバコ(Tobacco) | ||||||||||||
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thumb|none|タバコ農園 | ||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||
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N. acuminata | ||||||||||||
| 学名 | ||||||||||||
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Nicotiana tabacum L. | ||||||||||||
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タバコ | ||||||||||||
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Tobacco |
タバコ(煙草、烟草、莨、tobacco)はナス科の多年草の亜熱帯性植物。学名:Nicotiana tabacum L.
日本のような温帯域では一年草として栽培されている。 茎は枝分かれせず直立し、1.5〜2m程になる。 葉は先端のとがった楕円形で全体に綿毛が密生する。大きさは60cm程になり、互生する。 夏に茎の上部に総状花序をつくり、薄いピンク色又は黄色で、花弁が五裂した筒状の1〜2cmの花を多数付ける。 花の後に卵形のさく果をつくる。栽培されているものは、結実すると栄養分が取られるのでふつう花の段階で切除される。 一株からふつう20枚ほどの葉が収穫できる。
葉を乾かして同名の嗜好品を作る。火をつけて発生した煙を吸入したり、噛んだりして楽しむ。喫煙することにより吸収されるニコチンには強度の依存性があり、ひとたびニコチン依存症となると、それを断ち切るための禁煙には一般的に非常な困難が伴う。このような依存性に注意を払う必要がある。
日本では満20歳未満の者の喫煙は未成年者喫煙禁止法で禁止されている。
| 目次 |
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由来
南アメリカ原産で、ネイティブアメリカンが儀式として行っていた風習で、 新大陸を訪れたコロンブスを通じて世界に広まったとされる。
名前の由来はネイティブアメリカン語の「トバッコ」(パイプ・チューブ)で、 それがやや間違って伝わり、Tobacco(タバコ)となった。 広まる期間は100年と当時にしては急速で、そのため世界でほぼ同じ名前がついている。
喫煙率
thumb|300px|日本の喫煙者率の推移 日本での成人の喫煙率は1966年頃(男性84%以上)をピークに、2003年では全体で30.3%と減少傾向にある。 性別では男性全体の48.3%、女性は全体の13.6%で圧倒的に男性が多い。 健康主義の増加や健康増進法施行も手伝い、喫煙率は年々低下を辿っている。
過去に比べると男性の喫煙率は下がり、女性の喫煙率は、ここ30年来、15%前後で横ばいとなっているが、20代の女性の喫煙率の伸びが顕著で、2003年度調査でも23.1%となっている。年代別では30代の喫煙が性別や時代に関わり無く、高い傾向にある。
なお喫煙率低下の要因として、喫煙被害教育の充実や、娯楽の多様化、たばこ税の増税に伴う値上げの影響が指摘されている。
世界保健機関のデータ(Tobacco Atlas 2002)によると、世界各国の成人喫煙者率は、
- アメリカ: 男性25.7% 女性21.5%
- イギリス: 男性27.0% 女性26.0%
- イタリア: 男性32.4% 女性17.3%
- インド: 男性29.4% 女性 2.5%
- カナダ: 男性27.0% 女性23.0%
- 中国: 男性66.9% 女性 4.2%
- ドイツ: 男性39.0% 女性31.0%
- フランス: 男性38.6% 女性30.3%
- ロシア: 男性63.2% 女性 9.7%
などとなっており、G7に参加する先進国の中では、日本の男性の喫煙率が際立って高いといえる。
植物
日本では
- 黄色種
- バーレー種
- 在来種
の3種類がよく使われる。単独で使われることは稀で、多くはこの3種をブレンドする。 産地は西日本一帯、茨城県、福島県が多い。黄色種は葉を加熱乾燥させて用い、タバコの味や香りの主体となるものである。また、バーレー種と在来種は、葉が褐色になるまで空気乾燥させ、タバコの弾力性や香り、味を調和させるために使われている。
喫煙用の他に、オオタバコ、ハナタバコなどは美しい花の観賞用として栽培されるほか、キダチタバコは観葉植物として栽培される。マルバタバコは、普通のタバコに比べニコチンの含有量が多いためニコチンの採取のため栽培される。
日本でのタバコの製造はJT(日本たばこ産業)のみが行う。たばこ事業法第9条によりJT以外の者がタバコ製造を行うことは禁止されている。
タバコの種類
着火して煙を味わう 刻みタバコ、葉巻きタバコと着火しないで香りを楽しむ 嗅ぎタバコ、噛みタバコがある。
葉巻きタバコ
タバコの葉を刻まずに丸めて吸うタイプのタバコ。刻みタバコをタバコの葉で巻いたものも存在する。 詳細は葉巻きタバコを参照のこと。
刻みタバコ
喫煙方法によりいくつかに分類される。
紙巻きタバコ(シガレット)
日本では一般にタバコという場合、これを指す。 刻みタバコを紙で筒状に巻いたもので、直径は約6ミリ、長さは6cmほど。一本あたり約0.7gの葉が使われる。 包み紙はシガレットペーパーと呼ばれる特別な紙。 元来、両切りと呼ばれるフィルタの無いものしかなかったが、ロウ引きの吸い口を経て、現在では吸い口にニコチン、タールなどを吸収するフィルターがついたものが主流となっている。 日本では活性炭を加えたチャコールフィルターがよく使われる。
また日本では外国産の紙巻きタバコは、俗語として「洋モク」と呼ばれることがあるものの、日本たばこが国内の販売代理店を行っている銘柄も多い。
一本あたりの平均的な燃焼時間は3~5分程度。
キセル
日本、朝鮮、中国で見られる喫煙具。パイプをまねて作られた。 雁首、羅宇(らお)、吸口から構成され、雁首の火皿に刻みタバコを詰め、着火する。 本来、一息で吸いつくすもので、燻らせるものではない。 日本では江戸時代の喫煙は大半がキセルによるものだった。 一般的に紙巻きやパイプタバコよりも、葉の刻み方が細かい。
一服あたりの平均燃焼時間は2~3分程度だが、使うタバコの葉の量は紙巻タバコの1/4程度に相当で、人によっては(本来の喫煙法ではないが)、紙巻きタバコの吸殻(俗にいうシケモク)をこれに詰めて吸う人もいる。
水キセル
水パイプとも呼ばれ、タバコ煙を水にくぐらせた後、極めて長い煙路を経て吸引する。タール分や一酸化炭素を主に、多くの煙に含まれる成分が水に溶けて省かれ、また煙温も低下するので、まろやかな味わいが得られるとされている。 トルコ等の中東方面で用いられる大型のもの(複数人数で吸うことができるようになっているものもある)から、中国などアジアで見られる小型のものまでさまざまあり、日本でも吹きガラス製の水パイプなどが存在している。当然ながら、この喫煙に使った後の廃水は非常に有害で、うっかり口にすると大変不味い。
サイズによって燃焼時間はまちまち。
パイプ
Tabakspfeife.jpg
アメリカやヨーロッパ等で使われる喫煙具。刻みタバコと香料を加えたものを詰めて吸う。 煙路が長いため煙温も低く、紙巻きに比べタバコを味わうのに向いている。 また、落ち着いて吸わないと途中で火が消えてしまうので喫煙と言う行為を楽しむという意味では最良の喫煙具と言える。
同じパイプタバコでも、英国風と欧州風・米国風のブレンドに区分けされ、英国風は水分が多くて香料は使わないか極めて少なく、欧州風はやや乾燥して香料を多用し、米国風はよく乾燥して香料は控えめといった特徴がある。
一服あたりの喫煙時間は、葉の銘柄や詰め方にもよるが、平均的には30分~1時間で、人によっては2時間を越える。 葉の分量は概ね、紙巻きタバコ3~4本程。
噛みタバコ
噛みタバコとは、直接タバコの葉を含む混合物を口内で咀嚼し、風味を楽しむものであり、タバコの楽しみ方としては最も古い方法である。 北米大陸のネイティブアメリカンは、ライムの葉とともに咀嚼していたらしい。
タバコの葉と石灰などを共に口に含み使用し、唾液は飲み込まず排出する。現在ではタバコの葉と石灰の組み合わせのほかにさまざまなハーブなどを組み合わせたものや、子ども向けの甘味料と香料を多く含んだ Gutka、ハーブだけで構成されたパーンと呼ばれる物も存在する。 現在ではインドや東南アジアなどが主要な産地である。
かつては世界的に噛みタバコの使用は一般的であったが、近年では公共の場でつばを吐くという行為が疫病の原因の一つとなされることや、反社会的である、不衛生であるという理由などで徐々に紙巻きタバコに需要がシフトしていった。
噛みタバコが一般的に販売されている国(特にインドなど)では口腔がんの大きな原因の一つとして問題視されつつある。
日本国内においては噛みタバコは日本人の舌に合わないためか普及しなかった。
またタバコではないが、キンマと言って、コショウ科の諸物の葉に石灰を塗りビンロウの実と一緒に噛む嗜好品もある。
嗅ぎタバコ
嗅ぎタバコとは、着火せずに薫りを楽しむタバコである。大きく下記3種類に分類されるが、日本においてはあまり普及していない。中国では清代に嗅ぎタバコの流行を見、その容器である鼻煙壷は熱烈な愛好家を持つコレクションアイテムである。
- スコットランド嗅ぎタバコ (Scotch Snuff)
- 乾燥したタバコの粉末とメンソールを混合し、鼻から吸引する。
- アメリカ嗅ぎタバコ (American snuff)
- 甘い味付けと辛い味付けの2者が主流で、湿った粉末様で、歯茎に塗布する。
- 北欧嗅ぎタバコ (snoose)
- 良く煉られ、口紅や玉のような形状を持ち、鼻下や鼻孔内に塗布する。
ニコチンガム
これは厳密にはタバコではないが、噛みタバコと同じ性質を持つため、参考のためにここに記載する。
ニコチンガムは、スウェーデン海軍潜水艦乗組員の、航海中の禁煙による離脱症状に対処すべく、1967年にオベ・フェルノ博士により考案された。 日本では、2001年9月より、一般用禁煙補助剤として認可され、薬店での購入が可能となっている。
服用方法は噛みタバコとは異なり、柔らかくなるまで噛んだ後に頬と歯茎の間に挿み、粘膜経由でニコチンを摂取する。
「煙を味わう」について
「喫煙」の語感から喫煙とは「燃やした煙を味わう」と解釈されがちであり、事実それに近い面もある。しかし、それが本当であれば、主流煙も副流煙も全く同様に味わう事が可能と考えられるが、実際は副流煙はあくまでも副次的(しかも廃棄物に近い)産物に過ぎない(喫煙者であっても副流煙を嫌う例は少なくない)。すなわち、味わいとなるのは主流煙中の「葉が燃えて発生した熱により抽出されたたばこの葉の成分」である。着火によりタバコ先端で発生した熱は吸気によりタバコ本体を通過し、タバコ本体中の味成分を抽出して主流煙を形成して、喫煙者の口中に入り、喫煙者はこの味成分を味わう。したがって、シケモクの味は新品に劣るし、タバコを燃やさなくても熱さえタバコ本体を通過させれば煙はなくとも主流煙を形成させうるといえる。
タバコと文化
ニコチンなどの成分が精神的な鎮静効果を持つのは古くから知られており、ともすれば過剰な緊張状態にある一部の創作的活動従事者等の中には、これに耽溺する者もみられる。
タバコの害についての認識が一般化する前の時代の映画では、ヒーローのスタイルのひとつとして認知され、多くのヒーローが紫煙とともに語られてきた。喫煙を巡る事情が変化するなか、映像メディアにはほとんど登場しなくなった。
元来ネイティブアメリカンによる儀式に用いられるなど、魔よけ、厄よけの儀式に必要な道具という側面も見逃せない。
また、様々な喫煙法、喫煙具が世界中で作られている。
タバコと健康
本節では、主に日本で主流となっているタバコの嗜好法である喫煙が健康に及ぼす影響ついて述べる。尚、ここでの健康はWHOが定義する所によるそれを示す。
タバコ煙の成分
タバコの煙に含まれる化学物質は既知の物質だけで約4000〜5000種で、うち人や動物にがんを作るのものはベンツピレンをはじめとする約60種の発がん物質で、有害とされる物質は約200種類分かっている。
主なタバコ煙の成分:
尚、タバコ煙に含まれる各成分の具体的な量については、厚生労働省による「平成11-12年度たばこ煙の成分分析について(概要)」の分析結果を参照されたい。
たばこ依存症
ニコチンが向精神物質として働くのは神経伝達物質であるアセチルコリンに分子構造が似ているからである。この働きにあることにより、摂取を続けると脳内のレセプターが増えることを通して神経生理学的な変化を来たし、依存を形成する。すなわち常時ニコチン摂取を求めるようになってしまうたばこ依存である。
喫煙習慣は単なる依存症であるにとどまらず、後述する様々な致命的な疾患の原因となるため重大な健康問題であるほか、受動喫煙により周囲の人間にも影響を及ぼすため喫煙者個人の健康問題としてだけでなく、他者危害を防止するための社会的な規制を要する事項となっている。
未成年者、妊婦と乳幼児への影響
未成年者は大人に比べ健康被害を受けやすいため、日本では未成年者喫煙禁止法により喫煙を禁止している。また、妊娠中の母体の喫煙、及び周辺の受動喫煙(後述)は、胎児の低体重出生や乳幼児突然死症候群などの発育障害、呼吸器疾患、自然流産などのリスクを伴う。
近年の調査では未成年者の喫煙において、成人よりも遥かに少ない量で喫煙依存症状を起こすことが知られ、従来のような未成年者喫煙に対しての処罰以前に、禁煙外来などを受診して、喫煙依存を治療させる方が先だとする医療関係者も多い。 そして、喫煙年齢よりずっと下である小中学生を対象にして禁煙教育を行うことの重要性が叫ばれている。実際に、以下に示す事例が禁煙教育の資料の一部として用いられている。
- 喫煙者と非喫煙者の肺の写真
- 単純X線撮影にて喫煙者の胸部を撮影した場合、同年代の正常像と比較して肺野に有意な変化の認められることが多い。主な変化は気腫性の過膨張であり、通常なら第9~10肋間にみられる横隔膜が過膨張のため押し下げられた所見をとる。ヘビースモーカーになると細かい肺気腫が全肺野に渡って観察されることもある。
受動喫煙
タバコの煙は、喫煙者が吸う主流煙、主流煙を吐き出した呼出煙、周りの人間が間接的に吸う副流煙がある。喫煙しない者にも副流煙および呼出煙が影響を与え、それを受動喫煙と呼ぶ。フィルターを通さない分、副流煙の方が有害物質の含有量が大きいことが知られる。
受動喫煙でも喫煙者と同様の健康上の問題があることは、喫煙しない女性の肺癌罹患率が夫の喫煙本数と相関していることから見いだされた。生活習慣病全般に関してもリスクの上昇がみとめられており、職場や公共の場所での禁煙・分煙が推進される大きなきっかけとなった。嫌煙権が主張される際にも根拠のひとつとなっている。
ブリンクマン指数
喫煙が健康に及ぼす影響はタバコを吸った量によく相関することが知られる。簡便に定量化して表示するものがブリンクマン指数 (Brinkman's Index:BI) であり、喫煙年数×一日喫煙本数である。これが400を超えると肺癌および各種生活習慣病のリスクが高まり、600を超えると喉頭癌のリスクが高まることが知られる。
BIを計算する際、銘柄の含むニコチン量やタール量が考慮されないのは、これらの低減が必ずしも健康への害の低減を意味しないからである。
タバコと生活習慣病
喫煙習慣は血管内皮に対して酸化ストレスを与え、微小循環・大血管ともに障害を受ける。大血管の障害は動脈硬化を通して高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症 (ASO) などのリスクを上昇させる。そのため糖尿病、肥満、高脂血症と並んで代表的なリスクファクターに挙げられる。
寄与危険度の軸で捉えた場合、喫煙の害としてよく知られる肺癌に比べて心筋梗塞の方が社会的により大きな問題となる。(心筋梗塞の喫煙によるリスク上昇(相対危険度)は2倍に満たず、肺癌のリスク上昇は約20倍とはるかに高いが、肺癌は心筋梗塞に比べて稀な疾患であるため「喫煙のため増えた罹患者数」では心筋梗塞の方が上回るのである。)
慢性閉塞性肺疾患 (COPD)
COPDと呼ばれる疾患群のうち、肺気腫は喫煙が主な原因となっている。原因は煙の刺激による気管支内皮の炎症・破壊であり、重症度は喫煙歴にほぼ比例する。そのため、ヘビースモーカーはほぼ全員が肺気腫に罹患している。
症状は、肺活量の低下による動悸・息切れ。これにより全身が低酸素状態にさらされ、代償的に高血圧を引き起こして上記生活習慣病にも悪影響を与える。進行すると労作時の息切れのため歩行が困難になるなどし、最終的には呼吸不全に陥る。
治療は初期ならば口すぼめ呼吸による呼吸トレーニングを行い、進行した場合には持続酸素吸入を導入する。通常の呼吸不全は溢水により増悪するが、COPDによる呼吸不全の場合脱水によっても肺循環不全のために増悪するので水分管理を厳しくする必要がある。
喫煙を巡る事情
税
タバコは嗜好品であり、嗜好品のうちではアルコール飲料と並んで常習性・依存性が高いゆえに安定的な消費が見込まれ、古くから課税の対象とされてきた。 (課税(たばこ税)) 日本の場合、タバコ本体の値は価格の約37%で、税が地方たばこ税約29%、国たばこ税約23%、たばこ特別税6%、消費税約5%となっている。これはビール(酒税41.7%、消費税5%)等の他の嗜好品に比べ高い税率ではあるが、世界的に見ればむしろ低い方に位置する。
最も高い税率を設定している国はデンマークの85%、次点がポルトガルの81%、欧州諸国が77%~68%と続く。豪州、カナダが64%前後、日本より低いのはスイスの50%、アメリカ合衆国(注:州によって異なる)の30%である。
(出典:WHO Tobacco Alert,Special Issue,Geneva,1996)
禁煙
1990年代以降、欧米で公共施設やオフィスなどでの禁煙運動が始まった。欧米やシンガポールなどの国では、ホテルやレストランが禁煙となっている。さらにシンガポールでは、歩きタバコも禁止されている。その結果、タバコを吸える公共の場所は少なくなっている。最近は日本でも禁煙の施設や場所が増え、美観条例で違反者には罰金を課す自治体も増えた。
日本では21世紀初頭から、禁煙に関する運動が活発化している。公共交通機関は最も早く禁煙が進んだ施設の一つである。一例として鉄道では、JRの場合、普通列車はほぼ全て禁煙、新幹線や特急列車など優等列車でも禁煙車両の割合は増加している。また、大手私鉄の場合は公共施設における分煙を規定している健康増進法が2003年に施行されたのを機会に、地下鉄の場合は防火上の理由によりそれよりもかなり前から、駅構内全てを禁煙にしている。追加料金が必要な優等列車でも禁煙車両の割合は増加しており、鉄道会社によっては全て禁煙車の場合もある。他の交通機関では、高速バス、飛行機(国内線、国際線とも)、船舶のキャビンもほぼ全面的に禁煙となっている。交通機関以外の公共施設では、欧米ほどの規制はないものの、屋外野球場やサッカー場では禁煙になる施設が増えている。日本では、レストランやホテルで全面禁煙であることは少なく、喫茶店のチェーンでスターバックスや定食チェーンの大戸屋が店内全席禁煙としているのが目立つ程度であるが、モスバーガーも緑モスと呼ばれる業態店舗で全席禁煙あるいは完全分煙としている。それでも、近年では禁煙席、あるいは禁煙時間帯を全く準備していないことは稀であり、フレッシュネスバーガーのように禁煙席を全く設けていない例は珍しい。尚、一部のバスや航空機では完全分煙化をして「喫煙コーナー」を設置してある例がある。
また、世界禁煙デーの5月31日から1週間は日本では「禁煙週間」とされている。
2003年5月21日には、世界保健機関(WHO)総会においてたばこ規制枠組み条約が全会一致で採択され、2005年2月27日に同条約が発効した。これにより、締約国である日本のたばこ政策も変化をせまられることになる。
ごみとしてのタバコ
日本の東京都千代田区では2002年11月から生活環境条例が施行され、区内路上禁煙地区での喫煙及び投げ捨て(歩きタバコ)が禁止された。違反すると2万円以下の過料を徴収される。同様の条例は横浜市などでも制定されている。
なお、路面、側溝、水路等への投げ捨てそのものはもとより軽犯罪法や道路交通法で禁じられている。
火災とタバコ
平成15年版消防白書によると、建物火災の10.6%、林野火災の14.7%がタバコが原因であり、放火に次ぐ主な出火原因となっている。 タバコ火災のうち57.8%が投げ捨て、18.7%が火源の転倒、落下によるものである。
また放火などの犯罪において、火種としてタバコや喫煙具は良く利用されていることから、可燃性の危険物を安易に販売することを疑問視する人も多い。
- 関連項 ナゴヤ球場(中日スタジアム時代の1951年にタバコの火の不始末で木造スタンド全焼事故発生する)
広告の規制
タバコの広告は西欧では規制を受けるようになっている。F1などのモータースポーツにおいては大手タバコ会社がスポンサーになっている場合があるが、広告の規制を受けている国で開催される場合、ロゴの表示ができない。
日本においてはタバコの広告や包装には、たばこ事業法第39条に基づき財務省令で注意表示が義務づけられている。これまでも規定のスペースを割いて「健康のために吸い過ぎに注意しましょう」、「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう 喫煙マナーをまもりましょう」(広告の場合は、さらに「未成年者の喫煙は禁じられています」の一文も必要であった)という表示をすることになっていたが、省令改正によって、さらに具体的な注意文をこれまでよりも多くのスペースを割いて表示しなければならなくなった。さらに「ライト」「マイルド」などの表現について、これらが健康に対する悪影響が他の製品に対して軽いものではないという一文も付け加えなければならなくなった(改正省令第36条の2第1項に規定)。これは、ようやく日本の広告規制が“SMOKING CAUSES CANCER(タバコは癌の元)”などの表示を義務付けているEC加盟国などに追いついたと言える。
注意文の例(日本)
広告の場合、以下の1~3の文章を所定の面積を使って消費者に分かりやすく表示することになっている。さらに、商品名に「ライト」「マイルド」などが入っている場合は、1~3とは別のスペースを用いて4の文章を表示することになっている。
- 喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなり、心筋梗塞・脳卒中の危険性や肺気腫を悪化させる危険性があります。
- 未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やたばこへの依存をより強めます。周りから勧められても決して吸ってはいけません。
- (以下のうちひとつ)
- たばこの煙は、あなたの周りの人、特に乳幼児、子供、お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします。喫煙の際には、周りの人の迷惑にならないように注意しましょう。
- 人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます。
- 妊娠中の喫煙は、胎児の発育障害や早産の原因の一つとなります。
- 本製品広告に記載されている「LIGHTS」「MILD」などの表現は、本製品の健康に対する悪影響が他製品と比べて小さいことを意味するものではありません。
放送・マスコミでのコマーシャル
以前はタバコのマスコミ媒体でのコマーシャルに際しては特に制限を設けていなかったが、未成年者の喫煙防止や健康被害を考慮して放送での宣伝が規制されるようになり、まず1985年4月に子供向け番組の多い18:00~20:00の放送と未成年者に人気のあるタレントのCMモデル出演が禁止された。1987年8月には女性の喫煙ポーズを使ったCM禁止。
1989年1月にはCM放送禁止時間帯を早朝5時からに拡大し、1995年10月からは更に禁止時間を強化して平日は5時~23時まで、土・日・祝日は終日禁止となった。この為タバコメーカーの週末のテレビCMには製品のものではなく喫煙マナー向上を訴える内容に変更された。また学校(小・中・高校)から100m以内の地域では看板広告も禁止された。
そして1998年4月より放送でのコマーシャルが全面禁止となった。2002年4月からは未成年者の読者が25%以上を持つ雑誌の広告掲載も禁じられている。今後は街頭でのサンプリングやインターネット、雑誌など全面的な広告掲載(活動)の禁止を検討している。
自殺とタバコ
自殺者の血中ニコチン濃度は異常に高いという調査がある。これは精神活動の鎮静作用があるタバコを常習的かつ過剰に摂取した場合に、うつ病状態に陥り、自殺を実行してしまう可能性が指摘されている。
2004年10月に高知大学医学部守屋文夫法中毒学助教授が、喫煙者の死亡者13名(内、自殺者8名)を司法解剖した結果として発表した調査によれば、事故や病気によって死亡した喫煙者と比較して、自殺者は平均値で3.5倍の血中ニコチン値に及んでいたというもので、不安や緊張から来る焦燥感により喫煙を繰り返し、気持ちを落ち着けているつもりで余計に気分が落ち込み、自殺の引き金になる可能性が指摘されている。
喫煙は緩やかな自殺であると揶揄する向きもあるが、実際問題として急激に喫煙量が増加している場合には、喫煙による薬理的影響以前に、精神的に追い詰められている可能性が高いため、いずれにせよ自殺の兆候であると見る事ができる。
未成年の喫煙防止とその対策
前述の通り、日本では満20歳未満の者の喫煙は未成年者喫煙禁止法で禁止されていることから、現在では23時から翌朝の5時までの自動販売機での販売を行っていないが、日本たばこ協会は成人を対象に発行するICカードがないと、自動販売機でタバコが買えない制度を、2008年4月1日から全国一斉に導入することを予定している。 全国に約62万台あるたばこ自販機すべてが対象となる。2005年2月に発効したたばこ規制枠組み条約に対応したもの。ユーザーが専用のICカードを自販機の識別装置部分にかざすと、カードに記録された生年月日の情報を読み取り、カードにためた電子マネーと現金のどちらでもタバコを買うことができるようにする。店頭で買う場合は、本人を見て未成年かどうか判断できるほか、必要に応じて身分証明書の提示も求められるため、原則としてカードを見せる必要はない。運転免許証やパスポートなど、生年月日が確認できる身分証明書のコピーと本人の写真を添えて東京都内に設ける運営センターに申し込めば、写真付きカードが発行され、郵送でも受け付ける。紛失などによる再発行を含めて無料で、運営費用はタバコ業界が負担する予定。
参考
関連項目
タバコ製造・販売メーカー
外部リンク
- 日本医師会 - たばことがん
- 国立がんセンター - 喫煙とがん
- 医療関係の学会・団体の禁煙宣言
- 受動喫煙に関する基礎的研究
- たばこの諸問題
- 受動喫煙に関する平山論文批判
- 大蔵省財政制度等審議会 たばこ事業等事業部会
- 喫煙と肺がんに関する蟹澤意見書
- たばこ・タバコ・煙草?
- JT(日本たばこ産業)
- 禁煙公報センター
- 禁煙補助剤ニコレット
- 化学物質問題・市民研究会(タバコ関連)
- 嫌煙者から喫煙者へのFAQ
- 喫煙者を救え!
- 喫煙すると合コン、就職に不利?――大学生の喫煙に対する本音の解析
- 喫煙率が減っているのに肺がんが増えている
- こんなにストレスが多いんだ、タバコくらい吸わなくちゃ!
- 世界銀行「たばこ流行の抑制 たばこ対策と経済」
- 悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実
- 「禁煙セラピー ――読むだけで絶対やめられる」
