無段変速機

Keywords: 無段変速機, 20世紀, オランダ, スクーター, セミオートマチックトランスミッション, トヨタ・プリウス, トルク, トルクコンバータ, 日産・グロリア

一般に 無段変速機(むだんへんそくき) と呼ばれる (変速比)連続可変トランスミッション (Continuously Variable Transmission: CVT) は、歯車を用いず、摩擦に依って変速比を連続的に変化させる動力伝達機構である。一般には自動車用変速機の一種を指す。

摩擦力を介して動力が伝達されるため、一般に大きなトルクの伝達が難しいとされ、小型車向けの方式と見られてきたが、1990年代後半以降は、排気量2000cc超の中型・大型車にも採用されるようになってきた。

21世紀初頭時点で、一般に実用化されているCVTには、ベルト式CVTとトロイダルCVTの2種類が存在する。前者は比較的低トルクで低出力のエンジンに、後者は高トルクで高出力のエンジンに用いられる。基本的にはこの構図に変わりはないものの、日産自動車は、大排気量に対応可能なベルト式の「エクストロニックCVT」の開発に成功しており、これにより今後ベルト式CVTの運用範囲は拡大する可能性がある。

目次

その長所と短所

長所

短所

歴史

古典的な無段変速機としては2枚の円盤を直角に組み合わせたフリクションドライブが存在し、20世紀初頭から定置工作機械や、小型の自動車やガソリン機関車などに用いられた。構造は簡単であったが、容積が大きく、空転による動力損失が多いことから、第二次世界大戦以前に廃れた。

ベルト式CVT

ベルトと可変径プーリーを組み合わせた無段変速機は、20世紀初頭から存在していたが、当初は伝達できるトルクが小さく耐久性も不十分であったため、スクーターなどの低出力のエンジンを搭載した車両に用いられるのみであった。

四輪の乗用車でこの方式を本格的に採用した最初は、オランダDAF社で、自社で開発したゴムベルト式無段変速システム「ヴァリオマチック」を、遠心式クラッチと組み合わせ、1958年に発売した小型車「DAF600」に搭載した。

スチールベルト式CVT

その後1970年代に、DAF出身のオランダ人ファン・ドールネ Van Doorne が耐久性の高いスチールベルト式CVTを開発、1980年代以降欧州や日本の一部メーカーで採用されて小型車に普及し、CVTの代表的方式となった。

ファン・ドールネのCVTベルトは、強靱な特殊鋼数枚を重ね合わせて形成したスチールベルトに、やはり金属製の「コマ」をびっしりと填め込んだものである。プーリーからの駆動力は、隣り合ったコマからコマへの圧力として伝達され、スチールベルトは従属的なガイドとして動作する。

類似した方式に、大手自動変速機メーカーのボルグ・ワーナーによるチェーン式があったが、こちらは一般化せずに終わっている。

スチールベルト式CVTは、当初は遠心式クラッチや電磁式クラッチと組み合わせる方式が主流であったが、信頼性や操作性においてやや難があった。

1990年代後半以降は、スチールベルト式CVTを、ロックアップクラッチ付のトルクコンバータと組み合わせる手法が主流になりつつある。トルクコンバータを使うと、在来の遊星歯車式自動変速機同様、クリープ現象を得やすいというメリットがある。

トロイダルCVT

フリクションドライブを極度に発展させた形態で、入力側と出力側の2つの円盤の間に挟まれた「コマ」の傾斜を変化させることによって可変変速比を得るものである。極めて高い圧力の下で摩擦と潤滑を両立させての精密作動が要求されるため、実用化は極めて困難であった。
1999年に日産自動車が最初の市販形車(セドリックグロリア)を発売、その後同社のスカイラインにも搭載されたが、同社以外のメーカーには普及していない。

その他

CVT車のうち、スポーツ志向のあるモデルの中には、電子制御プログラムにより変速比を数段に分け、擬似的に6段から8段といった変速段数を設定し、セミオートマチックトランスミッションの様に変速比手動選択を可能とした例もある。市販されているものには、ホンダの7速仕様、日産スカイライントロイダルCVTの8速仕様などがあるが、無段変速機本来の機能とは相反したナンセンスなギミックとする批判もある。

トヨタ・プリウスのトヨタ・ハイブリッド・システム(THS)では、発電機と遊星歯車機構を電子制御で連携させることによって、無段変速機同様な動力伝達機能を得ている。発電機の負荷を調節することで、エンジン動力が車輪に伝達する程度を連続的に変化させるという、ハイブリッド車ならではのユニークな着想である。

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