大韓航空機爆破事件
Keywords: 大韓航空機爆破事件, 11月29日, 1987年, 1988年, 2004年, 2005年, アブダビ, アラブ首長国連邦, イラク, ソウル特別市
大韓航空機爆破事件(だいかんこうくうきばくはじけん)は、1987年11月29日、イラクのバグダッドからアラブ首長国連邦のアブダビ、タイのバンコクを経由して韓国のソウルへ向う途中の大韓航空858便が突如失踪し、それが朝鮮民主主義人民共和国の工作員が時限爆弾で飛行中に爆破したことによるものと発表された事件。
この航空機の乗客のほとんどは出稼ぎから帰る韓国人男性だった。韓国の捜査当局の発表によると、朝鮮民主主義人民共和国の工作員男女各1名がこの飛行機に乗り込み、時限爆弾を手荷物入れに入れたまま経由地のアブダビで降り、バンコクに向かう途中ベンガル湾上空を飛行中に時限爆弾が爆発し墜落、乗客・乗員115人全員が死亡又は行方不明となったとされる。
尚、この事件の指導・総指揮は、当時既に金日成の後継者に指名されていた朝鮮労働党書記・金正日(現朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長)が取ったとされる。
ベンガル湾の洋上で爆破された(とされている)ため機体に関する物証がなく、以下のような説が主張されている。
- 朝鮮民主主義人民共和国との関係を悪化させるべく韓国国家安全企画部(現・国家情報院)が仕組んだ謀略ではないかという説(機体は完全に失跡、原因究明に最も重要かつ必要な「ブラックボックス」さえ見つかっておらず、搭載されていたとされるライフラフトや膨張用ポンプなど数個の破片と備品が見つかったのみで、乗員乗客全員が行方不明である事から)
- 飛行中に便名が差し替えられ、全く別の便として当初の目的地に到着したのではないかとする説
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工作員逮捕の経緯
韓国捜査当局によれば、次のような経過で容疑者は逮捕された。
韓国の警察はバグダッドで搭乗して経由地の空港で降りた怪しい男女2名を特定した。この2名は日本のパスポートを持っており、経由地の空港で別の飛行機に乗り換えようとしていた。そのため韓国警察より依頼を受けた日本大使館員が現地警察官とともに駆け付け、その場でパスポートを確認、偽造であると判明したため連行しようとした。しかし男性はその場でカプセル入りの自殺用毒薬で自殺。女性も自殺を図ったが一命を取りとめた。この男女が所持してたのは偽造パスポートであったため、女性工作員の身柄は韓国へ引き渡された。後の尋問で、女性工作員は一連の犯行を認めた。この女性は朝鮮民主主義人民共和国工作員金賢姫(김현희 キム・ヒョンヒ)で、「李恩恵」(리은혜 リ・ウネ)と呼ばれる女性(日本から拉致された田口八重子さんとみられている)に教育を受け、実在の日本人名を使用し日本人になりすましていた。 彼女は裁判で死刑判決を受けたが、遺族の抗議の中、政治的配慮から特赦された。
だが、金賢姫の自白には矛盾点が多く、現在は行方不明となっており、真相の究明が待たれる。
また、偽造パスポートが日本人名義の物だったにも拘らず、日本政府当局が旅券法違反で逮捕せず韓国側に身柄を渡してしまった事について、不手際を指摘する声があった。
事件その後
2004年12月、ソウルの検察当局は訴訟を受けて、事件関連記録のうち個人情報関係を除く全てについて公開を決定した。
2005年2月、国家情報院の「過去事件の真実究明をとおした発展委員会」は他の7事件(73年の金大中事件、74年に起きた民主化運動弾圧事件、79年に起きた中央情報部長失踪事件など)と共に事件の再捜査を決定した。
疑惑
金賢姫が裁判で死刑判決を受けながら、大統領特赦で赦免され、しかも韓国国家安全企画部(現・国家情報院)部員と結婚したこと、しばらくはマスコミの取材にも応じていたが、事件の疑惑が韓国で小説化された途端、姿をくらましていることなどから、金賢姫は本当に朝鮮民主主義人民共和国の工作員だったのかという疑問が強まっている。
参考文献
- 朝鮮総聯・KAL機失踪事件特別取材班『謀略は暴かれた―KAL機失踪と「真由美」の謎』 - ISBN 490035012
- 野田峯雄『破壊工作―大韓航空機「爆破」事件の真相!』(宝島社 2004年) - ISBN 4796641009
- 徐鉉佑 金載協『背後―金賢姫の真実』(幻冬舎 2004年) ISBN 4344006267
- 中川信夫『疑惑の真由美事件―あの大韓機はどこへ行ったか』(柘植書房新社 1988年) ISBN 4806802557
