冷却材
Keywords: 冷却材, もんじゅ, スリーマイル島, タービン, プルトニウム, ヘリウム, 不活性ガス, 中性子, 二酸化炭素
冷却材とは、発熱体から発生する熱量を外部へ運搬する流体を指す。
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概要
一般に発熱体を抱える機械や高温にさらされる機械は、その健全性を保つために冷却する必要がある。冷却に用いられる流体を冷却材と呼び、その物質名をつけて呼ぶ事が多い。例えば製鉄の現場では大量の冷却水が用いられるし、高温にさらされるガスタービンエンジンのタービンブレードは中空構造となっており、その内部には冷却空気が通っているし、発電所の大型発電機は水素ガスによって冷却されている。
冷却材に使用される物質は、熱容量が大きく粘性が少ない物質が一般に使用される。また腐食性、毒性、爆発性は無い方が望ましい。原子炉で用いられる冷却材には、これらの他に中性子の吸収が少ない物質が用いられる。
原子炉冷却材
原子炉冷却材は、核分裂を起こす際に放出される熱を原子炉から取り出す役割を果たすもの。中性子の反射および吸収効果の無い流体であって、なおかつ熱伝導率の高いものが望ましい。原子炉の元祖である、小規模なプルトニウム生産炉での冷却材は空気であったが、やや大型のプラントが開発されるようになってからは、軽水や炭酸ガスが冷却材として使われるようになった。原子炉に於ける冷却材の役割は非常に大きく、冷却材の種類や用い方が、その原子炉の特徴であるといえる。軽水は中性子の減速効果がある為、冷却材と減速材を兼ねることが多い。金属ナトリウムには減速効果はないが、熱伝導率が良い。
冷却材に関する事故で最も深刻なものは、冷却材喪失事故である。ボイド(蒸気の泡)の異常な増加や冷却材の漏洩がこれに当たる。原子炉の冷却が十分に行われなくなると、メルトダウン(炉心溶融)を引き起こし、最悪の場合、原子炉は爆発に至る。これを防ぐ為に、原子炉には非常炉心冷却装置(ECCS)を設けている。
沸騰水型原子炉の冷却水
沸騰水型原子炉では、冷却材として軽水が使われており、核分裂による熱エネルギーは蒸気として取り出される。軽水には中性子の減速効果があるため、同炉では減速材としての役割も兼ねている。冷却材とタービンを廻す蒸気が同じであるため、これに関わる系をすべて遮蔽しなければならない。
加圧水型原子炉の冷却材
加圧水型原子炉では、冷却材として軽水が使われており、核分裂による熱エネルギーは高圧・高温の軽水として取り出される。特に、原子炉から熱を取り出す軽水を一次冷却材といい、蒸気発生器で熱交換を行い、二次冷却材である軽水を沸騰させ、これがタービンを廻す。1気圧での軽水の沸点は100℃であるが、同炉では一次冷却材を加圧し、沸点を300℃程度まで高めている。また、一次冷却材は、減速材を兼ねている。
高速増殖炉の冷却材
高速増殖炉では、冷却材として金属ナトリウムが使われており、核分裂による熱エネルギーは超高温の金属ナトリウムとして取り出される。熱伝導率が良い為、原子炉から取り出される出口温度は500℃を超える。特に原子炉から熱を取り出す金属ナトリウムを一次冷却材といい、熱交換器を通して二次冷却材である金属ナトリウムへ、さらに蒸気発生器を通し、三次冷却材の軽水を蒸気に変えてタービンを廻す。二次冷却材として金属ナトリウムを挟むのは、ナトリウムの性質から、原子炉内でのナトリウム爆発を防ぐ為の配慮で、水と金属ナトリウムが混ざることを防いでいる。また、一次冷却系の周囲は、全て不活性ガスと鋼鉄の壁で覆われており、万が一ナトリウム漏洩が起きても原子炉には影響が出ないようにしている。二次冷却系は鋼鉄の床のみとなっている。
冷却材に関する事故例
開発中の高速増殖炉もんじゅで起きたナトリウム漏洩事故は、二次冷却材の漏洩によるものだが、この事象そのものは大変軽微なものである。また、アメリカ合衆国、スリーマイルアイランドの加圧水型原子炉で起きた事故は、一次冷却材の喪失事故で、メルトダウン(炉心溶融)を引き起こした。
