コピーガード
Keywords: コピーガード, 11月26日, 1998年, Content Scramble System, DAT, DVD, ISDB, Intel, SCMS, コピーコントロールCD
コピーガードとは、DVDやビデオといった映像メディアや、CDなどの音楽メディア、各メディアにおける不法複製防止のための処理のことである。法的には「技術的保護手段」と呼ばれる。主たる目的は著作権保護であり、その適用分野は上記のメディアのほか、ソフトウェアや印刷物など、多分野に渡る。
近年、科学技術の発達により著作物の複製・コピーを行った時の質が非常に高いものになり、また短時間で・安価に複製・コピーが出来るようになったこと、複製・コピーを行う装置が爆発的に普及したことによって世界中で大量の複製された著作物が氾濫するようになってきている(一説によると、世界で出回っているメディアソフトのうち、3本に1本はコピー商品であるとも言われている)。これに伴い、権利者の利権が害されているとの声もある為、著作物に複製を行えないまたは一定以上の複製が行えないようにする技術的な措置が施されることが多くなっている。
一般には「コピーガード」「コピープロテクト」「コピーコントロール」「コピー制御」などと称されることもある。
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著作権法上の定義
(著作権法第二条・抜粋) 二十 技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式によるものをいう。
ビデオなどに使用されているもの
映像信号などに使用されているコピーガードを以下に示す。
アナログ映像信号
APS(Analog Protection System)とも呼ばれる。アナログ映像信号にかけるコピーガードは、通常我々が画面を通じて見る映像の外側にあるブランキングエリアにかけられる。従って、テレビ・モニタで垂直同調の調整機能があるものではそのブランキングエリアを見ることによってコピーガード信号を見ることが出来る。
- マクロビジョン方式
- 米国Macrovision社が開発したコピーガードシステム。これがかかったビデオソフトをVHSビデオデッキにダビングしても、ダビングされた映像は極端に明るくなったり、暗くなったり、或いは著しく垂直同調が乱れるなどして見るに堪えがたい画像になる。原理的にはVHSビデオデッキに搭載されているAGC回路(Automatic Gain Control回路=入力された画像の利得(gain)を自動調整し、適切な感度を保つための回路)を誤動作させる映像信号を入れることにより引き起こされる。テレビにはAGC回路が無いので映像が乱れることはない。DVDなどのソフトのパッケージに「DVDプレーヤーをVTR経由でテレビに接続するとと画像が乱れることがあるので直接テレビに接続して下さい」と書かれているのはそういった理由である。マクロビジョン方式のコピーガードはAGC回路を備えるVTRでなければ効果を発揮することが出来ない為、初期の頃のVHSやβ・8ミリビデオではコピーガードは働かない。なお、日本においてはマクロビジョン方式のバリエーション的なものも存在し、例えば「松竹方式」「シナノ企画方式」といったものなども存在する。但し、最近のDVDレコーダ等はこのマクロビジョン方式のコピーガード信号を検出したら自動的に録画停止になるなどの動作をするものも多くなっている。
- カラーストライプ
- 「カラーバーストコピーガード」とも呼ばれる。マクロビジョン規格の一部で、急速に変調したカラーバースト信号をビデオ信号に加えることによるコピーガード。前項の「マクロビジョン」と重複して掛けられることが多い。このコピーガードがかかったビデオソフトをVHSビデオデッキでダビングすると、録画した映像には細い横線が15?25本均等間隔で入る。「カラーストライプ」と呼ばれるのは、色の乗っている部分にのみこの縞模様が見られる為である。
- CGMS-A(Copy Generation Management System - Analog)
- 映像信号にコピー世代・コピー可否の管理情報をのせ、これに対応するレコーダに相応の動作をさせるというもの。これには著作者の意図に従い「コピーフリー」「コピーワンス」「コピー禁止」などの信号を選択して付加することが出来るようになっている。アナログの映像信号ではCGMS-Aとして使用される。これにより、コピーが禁止されている映像をHDD・DVD・D-VHSレコーダなどで録画しようとしてもレコーダ側が自動的に停止するなどして録画することが出来ない。但し、あくまでレコーダ側のみの機能に依存する為、相応の動作をしないレコーダだったり、レコーダとの間でその信号を改ざんされてしまうようなことがあれば無力になる弱さを持つ。今のところ、アナログ記録方式のレコーダ(VHSなど)ではこの影響を受けるものが無い。日本において2004年4月5日から地上波と衛星放送のデジタル放送(ISDB)で実施されているコピー制御(コピーワンス)はこのCGMSにより制御されている。
デジタル映像信号
デジタル映像信号にはさらに強力なコピーガードがかけられており、今後ともその種類・バリエーションが増えていくものと考えられる。現在のところでその代表的なものを以下に示す。
- DTCP(Digital Transmission Content Protection)
- 日立、Intel、松下電器産業、ソニー、東芝の5社が共同で開発し'98年に発表した、IEEE1394(Firewire・iLink)上の伝送用のための暗号化技術。5社が開発したことから「5C(Five Company、ファイブ・シー)」などとも呼ばれる。現在、IP用も検討中。機器ごとにIDを持たせ、公開鍵暗号または共通鍵暗号を利用して相互認証し、双方でコンテンツ保護が行えると認識しあえて初めて録画・再生が可能になるシステム。認証出来るとレコーダ側に複合用のカギを持たせ、映像データなどを暗号化して送信する。CCI (Copy Control Information)によって「Copy Free」「Copy Once」「Copy No More」「Copy Never」の4つのモードを指定できる。CGMSやSCMSのようにレコーダ側の機器に依存することは無くコンテンツ保護機能を持たない機器を排除出来るので、それらよりは強力であると言える。
- 多くのDVD-Videoソフトで採用されているコンテンツ暗号化システム。映像コンテンツを暗号化しているので、パソコンなどで単純にコピーしようとしても、暗号鍵まではコピー出来ないので正常の画面を見ることが出来ない。ノルウェーの15歳の少年によって暗号鍵が破られたことでも有名になった。なお現在のところ、このCSSは「アクセスコントロール技術」であり、著作権法で保護されているコピーガードには該当しないというのが文化審議会の見解である。
- CPRM(Content Protection for Recordable Media)
- コピーワンス番組を録画するときに使われる方式。現在のところDVD-RAM・DVD-RWが対応している。またDVD-R、DVD±Rでも対応するものが出始めているが対応した機器が必要である。CSSの暗号鍵が破られたことに対する反省からさらにシステムを強化し、万一暗号鍵が破られても対処出来るようにしたものである。固有のメディアIDをBCA(Burst Cutting Area)と呼ばれる、ライティングソフトで書き込めないDVDの最内周部分領域に書き込み、映像データは暗号化して記録する。パソコンなどを使ってデータはコピーできても、メディアIDを書き換えられないので復号化できず、映像などを見ることは出来ない。この方式により録画されたメディアは、CPRMに対応したAV機器(データ復号を許されている、デバイスキーを持った機器)でなければ見ることが出来ない。パソコンソフトによるメディア鑑賞の場合は、インターネットを経由しての認証が必要になる。再生時は、このメディアIDと別のMKB(Media Key Block)によって作られる暗号鍵と、AV機器の持つデバイスキーで復号が行われるが、万一暗号鍵が破られてもメディア側のMKBデータを更新してしまえば、そのメディアの復号が行えなくなり、映像を見ることが出来なくなる。
- CPPM(Content Protection for Prerecorded Media)
- 再生専用メディアのコピープロテクト方式。原理的にはCPRMと同じである。主にDVDオーディオメディアに採用されており、日本においては同品質の複製は「コピー不可」となっている(アメリカでは「コピーワンス」で決着。但し日本でも、CDレベルの品質に落として複製する場合は「コピーワンス」である)。
- リージョンコード
- DVDを再生することが出来る地域を制限する地域コードのことで、再生したいディスクとプレイヤーのコードが一致しなければ再生することは出来ない。日本のリージョンコードは2となっており、特定の地域でないと再生出来ないことからプロテクトの一種と言える。各地域毎のリージョンコードは次の通り。
0 全世界で再生可
1 アメリカ・カナダ・世界の米領島嶼部
2 西欧諸国・中近東諸国・南アフリカ・日本・グリーンランド
3 東南アジア諸国・香港・韓国・台湾・カンボジア・フィリピン・ミャンマー
4 オーストラリア・ニュージーランド・大洋州諸国・メキシコ・中南米諸国・西サモア・ミクロネシア
5 ロシア・旧ソ連諸国・北朝鮮・モンゴル・南アジア諸国・アフリカ諸国
6 中国
7 未設定
8 国際航空航路など特殊用途
音楽メディアなどに使用されているもの
アナログのオーディオケーブルを使用しての複製は現在のところ無制限である。ここでは、光ファイバーケーブルを用いたり、パソコンなどを用いて行うデジタル方式での録音・複製について紹介する。
- SCMS(Serial Copy Management System)
- 民生用のデジタルオーディオ機器(MD・DATなど)が装備するデジタルコピーの制御機構の1つ。デジタルオーディオインターフェイスでは、デジタル化されたオーディオデータとともにデータや機器などに関する様々な情報を転送できるように設計されている。この情報の中に、著作権保護の状態を示すビットとオリジナルソースなのかコピーなのかを示すビットが用意されており、これを使用して複製制御情報を転送、録音機側で録音の可否を決定する仕組みになっている。一般的な音楽CDやデジタル放送などをデジタル録音した場合には、データは「保護されたコピー」として扱われ、このメディアからのデジタル出力に対して、録音機器は録音を拒否するように動作させる(コピー不可)。つまり、「デジタルでコピーされたものをさらにデジタルでコピーする」という2世代目のコピーが作成できないようになっている。著作権状態が不明確なアナログ録音の場合には、「保護されたオリジナル」として扱われ、1回だけデジタル経由でコピーすることができる(コピーワンス)。CGMS-A同様、レコーダ側の機能のみに依存するという弱さを持つ。
- コピーコントロールCD
- コピーコントロールCDの項目を参照のこと。
ゲームソフトに使用されているもの
- レッドハンドプロテクト
- プレイステーションのゲームソフト及びゲーム機本体が備えるもので、コピーソフトが動くようにゲーム機本体を改造したものでコピーソフトをプレイしようとすると、そのゲームが強制終了となるシステム。最初にこのシステムが搭載されたのは、1998年11月26日に発売されたゲーム「ポポローグ」であると言われる。強制終了の画面になる時、赤い手のマークと共に「強制終了しました。本体が改造されているおそれがあります」とメッセージが出ることから「レッドハンドプロテクト」と呼ばれる(実際は赤い手のマークが出ないものでも、同じ原理で強制終了となったり画面がフリーズするものも含めて「レッドハンドプロテクト」と総称されている)。頭文字を取って「RHP」と呼ばれることもある。改造を施していない正規のゲーム機本体であれば、CD-RやDVD-Rにコピーしたゲームソフトを入れて起動しようとしても起動することは出来ない。これは、レコーダでは記録することが出来ないTOC(Table Of Contents)部分に「正規品」であるというデータが入っており、丸ごとコピーしたつもりでもこのデータまではコピー出来ないからである。そこで、コピーソフトであっても「正規品」であると嘘の認識をさせるようなICチップなどを組み込む改造を行ったり、一旦ゲーム機本体に「正規品」と認識させるようなソフトを立ち上げさせ、ディスク交換を認識させないようにその収納部を改造したものでディスクを交換(強制排除)、その後コピーソフトを立ち上げるという手法を取る者も現れるようになった。そこで、メーカー(ソニー)とゲームソフト会社は連携して「正規品」であるかどうかの読み取りを行う頻度を煩雑・複雑化したりする等をし、不正な信号・動作が検出されれば強制終了するというシステムを採用するようになった。さらに、エンドユーザが勝手にゲーム機本体を分解した場合はいかなる時でも修理等の保証は一切しないということで、その本体には分解禁止シールが貼られるに至っている。
技術的保護手段回避の禁止
先述のようなコピーガードを回避・消去する装置を仮に作ることが出来たとしても、それを販売・配布することは著作権法及び不正競争防止法で禁止されている。また、これらの装置を使って故意にコピーガードを消去・回避して録音・録画を行うことは著作権法による私的使用の許容範囲を超えた著作物複製と見なされ、最終的には著作権侵害となる可能性をはらんでいる。
さらには、文部科学省などを中心にコピーガード回避関連の情報を規制・取り締まろうとする動きがあるとも言われている。
コピーガード回避・消去装置の販売等の禁止
(不正競争防止法・抜粋)
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
10.営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為
(著作権法・抜粋)
第120条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化した者
コピーガード回避・消去装置による録音・録画の禁止
(著作権法・抜粋)
第30条(私的使用のための複製)
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、 次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
- 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
- 技術的保護手段の回避 (技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第120条の2第1号及び第2号において同じ。) により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
コピー・複製制限について
複製・コピーがコピーガードにより制限される中、一方で「私のお気に入り」といった形でベスト盤を作ったり、テレビCMの部分だけをカットして編集するなど、音楽・映画ソフトを自分の好みに合わせて楽しみたいと思うことはごく自然なことであり、また安心の為にCD・DVDなどのメディアが破損した時のバックアップを取りたいと考えるユーザも少なくない。それゆえ、合法的にお金・代金を払っている利用者に対しても過剰な使用制限をかけているのではないかと問題視する意見も多い。アメリカでは「フェア・ユース規定」というものが法的にも認められているが日本ではそれが無い為、今後はますます著作権所有者の言いなりにユーザが翻弄され、経済的な負担を強いられると共にユーザビリティも失われていくのではないかと懸念する声もある。
しかし、2004年末頃から各音楽メディア会社はコピーコントロールCDを緩和する方向でも動き出している。
