アダルトゲーム

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アダルトゲームとは、性的な描写を含むコンピューターゲームのことを指す。通例、18歳未満の者の購入が禁じられている。

年齢制限を強調して「18禁ゲーム」、あるいはもっと俗的に「エロゲー」とも呼ばれる。だが、アダルトゲームのほとんどが男性向けに作られた、女性が出てくるものであるため「美少女ゲーム」と言い換えられることが多い。(なお「美少女ゲーム」には性的要素のないギャルゲーを含める、との見方もある)

しかし最近では男性向けに少年愛を描いた「ショタ」や、女性向に男性同性愛を描いた「ボーイズラブゲーム」も増加傾向にあり、「アダルトゲーム=美少女ゲーム」の図式は必ずしも当てはまらなくなっている。

なお暴力的・反社会的な内容を含む等して、利用者に一定の社会規範性を求める内容のゲームに関しては成人向けゲームの項を参照。

目次

概要

アダルトゲームのほとんどは、WindowsMicrosoft社製)のOSをプラットフォームとするパーソナルコンピュータ上で動くゲームである。

またグラフィックは「マンガアニメ」調の絵柄が主流であり、映像をもとにした実写版は少ない。昔の荒い画質で人間を表現するための策であるが、これらはアメリカなど欧米などには見られない、日本のゲームの特徴でもある。(下記参照)

ゲームジャンルとしてはアドベンチャーゲームが圧倒的で、育成系シミュレーションゲームシミュレーションRPGも含む)やアクションゲームRPGも一部で見られる。シューティングゲームウォー・シミュレーションゲームは稀で、前者は『とびでばいん』(アボガドパワーズ、2001)、後者は『妖獣戦記』シリーズ(ディーオー、1993~)がある程度であり、海外で一般向けゲームの主流である、ファーストパーソン・シューティングゲーム(一般的にはDOOM型と呼ばれている)は成り立たないとされる。

一方、ボーイズラブなど女性向け成人ゲームも存在するが、市場規模はまだ小さい。とはいえ、近年男性向け作品を作るアダルトソフトメーカーが、女性向けのゲームを積極的に開発・販売するようになり、市場規模も少しずつ大きくなってきている。しかし女性向ゲームは全年齢向けゲームも多く、男性向けアダルトゲームソフトとは違った傾向を示している。また、『王子さまLV1』(Alice Blue 2001)等のようにソフト本体は全年齢対象で作成し、これと別に18禁要素を追加する拡張ディスクを発売する方式もある。

家庭用ゲームのソフトと違い、高価なライセンス権や、高価な開発専用機器(主にSCEが出している、専用ワークステーションなど)を購入する必要がないため、資金が少ない小規模会社でも参入できることも特徴といえる。

アダルトゲームの販売に当たっては、メーカー間の自主規制や各都道府県の青少年保護育成条例により18歳未満の人物が購入することのないよう陳列の分離や販売時の年齢確認を徹底するよう求められているが、一部の小売店ではそれに従っていないケースも少なくない。本屋における成人向け冊子と同じような問題が発生していると考えていただきたい。

歴史

創生期からソフ倫設立まで

1982年に販売された光栄マイコンシステム(現コーエー(KOEI))の8bitパソコン用ソフト『ナイトライフ』が「性」を取り扱った最初のソフトとして登場し、その翌年には既に10本以上のアダルトゲームが販売されている。

初期には、前述の光栄、エニックススクウェア・エニックスの前身)など、コンシューマーゲームで名をはせたソフトメーカーや、PSK九十九電機など、パソコンショップも、アダルトゲームを販売していた。 また、1980年代半ばからアダルトゲームの制作販売を専門とするジャスト、エルフチャンピオンソフト、キララ(現F&C)などのソフトメーカーが現れ始め、パソコン市場におけるPC-9801シリーズのシェア拡大にあわせてこれらの機種のユーザーをねらったアダルトゲームが数多く製作されるようになった。

しかし当時は『成人向け』という概念も無く、単純にこれら『成人向け』の露骨な性的描写を含むソフトウェア類は「エロソフト」等と呼ばれて、メーカーや販売店側も、中高生などの未成年者が購入する事に関しては全く無頓着か、むしろその年代層をターゲットにした商品にも(製作側の嗜好もあるだろうが)、性的興奮を目的とした描写が取り入れられる事が多かったのも実状であった。 当時、パソコン本体自体が高価で、操作法も複雑であったため、一般の人には購入しにくく、購入層はオタクとよばれるような技術と財力を持った人間層であったことも一因であろう。

これらのゲームの表現はメーカーの裁量に委ねられていた。しかし、次第にアダルトゲームも問題視されるようになった。1986年刑法177条強姦罪)からタイトルを取った「177」(マカダミアソフト=デービーソフトの一部門)というゲームが草川昭三により国会で取り上げられたこともあった。

その後しばらくは、きわどい部分を全く表現しないか、あるいは「自主規制」という形での「何らかの」処理をするのが一般的となっていた。しかも、その「規制」は、「裏ワザ」で外せる場合が多かった。

このころ、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件そして有害コミック騒動が勃発し、業界そのものが言われない批判に晒される事になる。決定打となったのが、1991年沙織事件である。近畿で中学生がアダルトゲームを窃盗(万引き)した事から世間の注目を浴びた。その結果、規制の緩さが追求され、開発会社の社長が逮捕される事になった。

これに対し日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会は、性的描写が存在する旨を明記したシールをメーカーに販売した。しかし、宮崎県においてソフトウェアを有害図書の一種と認めるよう条例が改正、先のシールが張られていなかったソフトウェアが槍玉に挙がった。そのため、アダルトゲームを一括して管理する団体が求められ、1992年に自主規制団体コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)が設立された。 初代理事会社は当時四強とよばれたディーオー(D.O)、チャンピオンソフト、エルフ、フェアリーテール(後にF&Cに併合)である。しかし、この規制内容を考える際、警察の天下りが多いと言われる、ビデオ倫理審査委員会(ビデ倫)の古い時代の規制を参考にしたため、実態に合ってないなどとして、実写を管理するビデ倫の規制とあくまで絵が主体であるアダルトゲームの溝は深く、長い間改正が叫ばれる事となる。

メディ倫の参入と対立

作品内容の進歩はともかく、それ以後コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)が一括管理する体質は長らく変化を見せなかった。また、実際の業務内容が公表されず不透明感が高い上、設立初期のアダルティンとの癒着が指摘され、ユーザーやメーカーは不信感を抱いていた。

一方その頃、ビデオ安売王の出現をきっかけに、アダルトビデオと呼ばれている日本版ポルノビデオ業界には、メディア倫理協会(メディ倫)という、レンタルではなくセルビデオを対象とした、日本ビデオ倫理協会とは独立した基準の立ち上げが起こった。

ビデオ安売王自体は、社長の逮捕により短い期間で姿を消したものの、テリー伊藤の弟子である高橋がなりが創設したソフト・オン・デマンド(SOD)をはじめとしたインディーズビデオメーカーの台頭や、アダルトビデオメーカーの海外進出など、アダルトビデオ業界は改革の渦に巻き込まれていた。その影響は、OVAをはじめとしたアニメ販売のスタイルにも影響を与えた。この時点から美少女ゲームメーカーも海外進出を始めていた。

それにもかかわらず、1999年11月に施行された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に対応した、18歳未満の男女に対するSEX描写の禁止や、親族3親等以内のSEX描写の禁止をはじめとした、ソフ倫基準の一部変更はあったものの、前述のアダルトビデオ業界の動きに対しても、美少女ゲーム業界は鈍感であった。

2001年、当時人気を博していた君が望む永遠age 2001)はモザイク処理に不手際があるとして回収された。ソフ倫は機械的な使用単語の制限と一部の画像を点検する部分審査の体制を取っており、審査漏れがあるのは当然であった。回収されたのはこのソフトウェアが初めてではない。しかし、この部分審査の体制と回収の際に何ら補助のないことに不信感をあらわにしたageはソフ倫を脱退した。age作品を取り扱っていたソフトウェア卸のホビボックスは、アダルトビデオの自主審査機構だったメディア倫理協会(メディ倫)に対しアダルトゲームの審査を行うように働きかけ、2003年にageがメディ倫審査のアダルトゲーム第1号となる「マブラヴ」を発売した。当時メディ倫はソフ倫と違い全ての素材を審査する完全審査体制を取っており、かつ規制も若干緩いものであった。卑猥な用語に修正を加えるか否か、がその例である。その一方で、一部の店舗ではソフ倫審査作品以外は扱わない方針を取ったために「マブラヴ」が入荷しないという事態を招いた。

これに続き、2004年初頭には数々のブランドを抱える大手・テックアーツがメディ倫移行を表明、前後して主に中堅以下の数々のブランドがメディ倫へ移行した。

これに対しソフ倫は一部規制緩和を行った。しかし、その内容はアダルトゲームの表現の幅の根幹に関わる問題であり、軽視できないほど重要な項目である。逆手に取れば、以前の審査基準には何ら明確な意味がなく、かつ顧客(メーカー)の流出を恐れる、儲け優先の体質が浮き彫りとなり、ユーザーやメーカーなどに対し、さらなる不信感を煽る事となる。

技術の進歩とゲーム

コンピュータ技術の進歩がゲームに与える影響は大きく、特にグラフィック面についてその傾向は顕著である。そしてアダルトゲームにおいてもそれは当てはまる。アダルトソフトの登場とPC-8801FM-7といった当時としては格段にグラフィック能力が向上したパソコンの登場はほぼ同時期であり、グラフィック能力の向上によりコンピュータによるアダルト表現が可能になったと見ることができる。

これ以後もハードの進化と共にグラフィックの向上は進み、8Bitパソコン時代の末期から、16Bitパソコン全盛期には、写真などの静止画像をキャプチャーするハードウェアも出始め、従来のプログラマー兼デザイナーの描くドット絵から、専門のイラストレーターが作画した物や、実写した写真のキャプチャー画像が増えた。更にはその後の32Bitパソコンが普及し、1995年Windows 95登場の頃には、純粋に解像度と発色数の増大のみならず実写や動画・3DCGによる多彩な表現が可能になったこともあり、アダルトゲーム市場は、家庭用ゲームユーザーを代表とした、マニア以外の人向けにも急速に拡大した。

更には、パソコン本体の価格の低下にともなう、パソコンの普及と販売量の増大によって、潤沢な資金を背景に、高度な映像機材が投入されるなど、製作側の設備投資関連の進歩も挙げられる。

グラフィック面以外でも、大容量記録媒体の登場によって大作ゲームが作られるようになり、音声技術の向上やプロダクション制の導入に拠り、声優らに拠る主題歌を収録したり登場人物等の台詞に声をあてたりすることができるようになった。なお、アダルトゲームに声優が使われた当初は、有名声優も多く、不快さを避ける意味もあり大抵は匿名か偽名であったが、最近は専門の声優がほとんどである。

作品の傾向

当初は現在主流となっているアドベンチャーゲームだけではなく、アクションゲームやロールプレイングゲームなどの形式を取ることが多かったが、多くのコンピューターゲームユーザーからはアダルトゲームはあくまで性的な描写が主であり、概してそのゲーム性は薄いものであると認識されていたようである。

現在主流のアドベンチャー形式と呼ばれる類のゲームは『天使たちの午後』(JAST 1985)に由来する。しかし、当時はまだ話の途中でゲームオーバーになりこそすれ、話の流れはだれしも一様であった。

その後、一般のゲームでも当たり前に「ビジュアルシーン」が導入されるようになり、アダルトゲームも次第に「絵だけではなく」ゲーム性が重視される作品が次第に増えてきた。80年代後半以降には、RPGでは『カオスエンジェルス』(アスキー 1988)や『ドラゴンナイト』(エルフ 1989~)シリーズ、アドベンチャーでは『殺しのドレス』(フェアリーテール 1987)などが登場する。

ゲームセンターで『スーパーリアル麻雀PII』(セタ 1987)がヒットを出し、「脱衣もの」というジャンルが確立されたのもこの頃である。

スーパーファミコンで『弟切草』(チュンソフト 1992)が発売されて、選択肢によって複数の物語と結末が訪れる、マルチシナリオ(ないし、マルチエンディング)形式のゲームが現れると、アダルトゲームにも影響をおよぼした。恋愛シミュレーションでは、シミュレーションゲームの要素を取り入れたアドベンチャーゲーム『同級生』(エルフ 1992)がある。学園恋愛をテーマとして、登場キャラごとのエンデイングが用意され、アダルトゲーム史上はじめての10万本を越える売上を記録した。当時流行のRPGスタイルを取り入れている。アドベンチャー形式で初のマルチシナリオは『河原崎家の一族』(Silky's 1993)である。

このころからアダルトゲームが単なるエロチズムだけでなく、他方面にも優れた作品であると多くのユーザーに評価されるようになり、1990年代半ばには、『EVE burst error』(C's ware 1995)、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(エルフ 1996)などシナリオを前面に打ち出したゲームが発売されてヒットをおさめた。

1990年代の末頃から、「弟切草の亜流」とも言えるシステムを使った、恋愛物語要素やシナリオなどを重視し、性行為の描写を含む選択肢による分岐を含むイラスト付きの読み物とでも言えるようなアダルトゲームが多くなってきた。事実、最近のヒット作は軒並みシナリオを重視した作品が多い。

Leafビジュアルノベル三部作(『』、『』、『To Heart』 1996~1997年)や『ONE~輝く季節へ~』(Tactics 1998)、『Kanon』『AIR』(Key 1999/2000)などのヒットが続き『純愛』といったジャンルが形成された。

それに対し、追随ないし抵抗する形で『水夏』(CIRCUS 2001)や『君が望む永遠』(age 2001)など愛憎を描いた作品もヒットを飛ばす。

他方この業界では元祖ともいえる鬼畜と称された、『鬼畜王ランス』(アリスソフト、1996)など強姦SM、『Natural』(フェアリーテール、1998)など調教を用いたエロチズムやゲーム性を追求する勢力もある。売上だけに着目すれば、現在のアダルトゲーム業界の流れの中においては非主流にあるといえよう。

例えば「Rance」(アリスソフト 1989~)シリーズと後継的作品群を比較すると、『鬼畜王ランス』ではふんだんにあった主人公の鬼畜的行為が、『大悪司』(アリスソフト 2001)では相手の合意を得る場合が多く、真の鬼畜的行為は遊女屋においてのみとかなり限定された。さらに『大番長』(アリスソフト 2003)ではハレムこそ築くが主人公は全く鬼畜的行為には及ばない。

しかし、純愛路線が飽和状態になったとの指摘もあり、鬼畜その他のジャンルへの再評価の動きが高まっている。

昨今の市場では、「アダルトゲーム」といえども、成人向けの「アダルト」部分を抜いての、家庭用ゲームハードへの移植、メディアミックスが主流になっており、ともすれば、一般向けに企画された「ギャルゲー」との区別が、つかなくなっている場合もある。特に「ビジュアルノベル」ではこの傾向が顕著である。

企業

2004年9月17日現在、コンピュータソフトウェア倫理機構に加盟しているブランド数は573に達している。(企業数ではないことに留意)

アダルトゲームの製作会社は、規模の大小こそあれ、コンシューマーゲームの製作会社と比較するとおおむね小規模である。本社ビルを持っている会社はほんの数社程度であり、法人格を持たず普通のマンション(代表者の自宅など)を仕事場にするケースも珍しくない。またコンシューマーゲームとは違い、会社名よりもブランドを前面に出す事が多い。そのため、消費者が母体となる会社名を知らない事も多いし、販売代行のみが明らかで実際に製作を行った下請け会社がわからないケースがある。また、自社で全ての製作作業をまかなうのが難しいため、一部を外注として頼むことも少なくない。特にムービーは特殊な技術が要求されるため、自社製作であることはほとんどない(業界大手でもムービーと声の収録だけは外注である)。また、ごく一部の例外を除いて、労働条件はほぼ一様に悪いと言われている。

新規参入に際しては、ゲームソフト卸や一部のゲーム会社が、自社の傘下に入る事を条件に資金援助するシステムが確立しており、比較的容易である。このため毎年数十のブランドが新たに出来る一方で、数十のブランドが消えていき、中にはゲームの発売すら出来ず消えていく所も見られる。

また小規模であるが故に、会社や人材の離合集散が激しいのも特徴である。会社内部での問題から開発事務所が独立する場合も多いし、人気のスタッフは他社に引き抜かれたり、自主的に移籍したり、外注(フリー)として企業に束縛されないこともある。特にフリーの有名なスタッフの存在はゲームの売上に大きく影響するので、引っ張りだこになることも珍しくない。

アダルトゲームとコンシューマーゲーム機との関係

コンシューマーゲーム機において、性表現のあるゲームの制作は禁じられている。これは、任天堂社製ハードファミリーコンピュータ全盛時代に、任天堂のライセンスを取得しないソフト(同人ソフト、当時は裏ソフトと呼ばれていた)の撲滅に関して定めた自主規制が、原因となっている。詳細は任天堂の項を参照のこと。

パーソナルコンピュータ用のアダルトゲームの開発や販売をしていた、エニックス(当時)や光栄(当時)などがそれをやめたのも、当時の任天堂の方針に合わせたためとも言われている。

しかし、コンシューマーゲーム機での合法的なアダルトゲームは、全くなかった訳ではない。過去にはセガ製家庭用ゲーム機のセガサターンや、NEC製家庭用ゲーム機のPC-FX用のソフトで、一時期アダルトゲームの制作が認められていたことがあった。『野々村病院の人々』(エルフブランド 1996)などが、レーティング上18禁(X指定)のまま移植されていた。 ただし、完璧に元の作品が移植されていたわけではなく、過激な性的表現が緩和されたうえに年齢制限のかけられたものであった。たとえば『Piaキャロットへようこそ!!』(カクテル・ソフト、1996 PC-FX版は翌年自社発売)のPC-FX版ではHシーンにおいて主人公の姿を消すという修正がされた上でのリリースとなっている。

しかし、脱衣マージャンや、PC版美少女ゲームの緩和版ソフトといった、X指定におけるジャンルのマンネリ化があった上、アダルトのゲームを販売している事に対する風当たりが強まったこともあり、やがて性表現を排除した「18歳以上推奨」というレーティングに移行していった。SCEI製のコンシューマーゲーム機であるプレイステーションに水をあけられたことも、無関係ではないだろう。

その後エルフは、『同級生』や『下級生』を性的表現をかなり緩和して18歳以上推奨ソフトとしてセガサターンに移植した。『To Heart』(Leaf 1997)は、全年齢向けにアレンジした上でプレイステーションに移植され(後にPC版も発売)、大きな評価を受けた。『Kanon』(key 1999)に関しては、もともとKey自らPC向けの全年齢対象版を発売していた。それをNECインターチャネルドリームキャスト、後にはPS2に移植し、これも大きな評価を受けた。

そのことから、内容が秀逸であるものは性的表現を抜いても十分に売り上げが見込めるものとして、ヒットした18禁ゲームがコンシューマー機へ移植されるという傾向が生まれた。

コンシューマーゲーム機への移植に際しては、各プラットフォームごとに許容される表現の幅に違いがある。特にプレイステーションへの移植に関しては、ソニーチェックと呼ばれるほどCGなどの表現に対する規制が厳しい上に、「原作のゲームと同一タイトルをつける事を認めない」※1という暗黙の決まりも後に制定された(参考情報:1999年3月発売の『To Heart』ではタイトルが変わっておらず、同年4月1日発売の『ONE ~輝く季節へ~』は『輝く季節へ』とタイトルが変更されている)。プレイステーション2主流の時代では、それほど露骨な規制はなく、過去に他ハードに移植されていないタイトルでもサブタイトルが付いている程度である(元々ついている作品でも若干サブタイトルが変わっているのが一般的であるが)。しかしながら、過去の規制の名残でプレイステーション2でもタイトルが完全に変わっている作品が、ごく少数だが存在する。

このため、SCEI社製ハードと比べてある程度規制がゆるやかなセガ社製ハードへの移植が盛んとなった。ドリームキャストの生産が終了した現在でも、移植作品が発売され続けている。

パンチラに関しても、もともと厳しかったが、PS2完全移行後の2005年より解禁になったことから、ドリームキャストへの存在意義が薄れている。

※旧プレイステーション時代にも「Piaキャロットへようこそ!!」の移植を望む声があったが、上記の規制問題により移植を断念した。

一方、任天堂製コンシューマーゲーム機の類では、一般的にギャルゲーと呼ばれている露骨な性描写を除いた美少女ゲーム作品を、家庭用ゲームソフト全体の質を大きく下げた元凶として質の低い作品が多いと任天堂は考えているため、前述のような移植には消極的な態度をとり続けている。とはいえ、美少女ゲームメーカー作品が任天堂製ハードから完全に排除された訳ではない。ゲームボーイアドバンスなど任天堂製携帯ゲーム機において、『Piaキャロットへようこそ!!2.2』(NECインターチャネル、2000)や『雀級生 ~コスプレ★パラダイス~』(エルフ、2000)のような外伝的作品が発売されたり、『Natural2 -DUO-』(オメガ・プロジェクト/シャルラク、2002)などのように性的表現を切り捨てて移植された作品もある。

メディアミックス展開

以前からヒットしたアダルトゲームを原作として18禁アニメを制作し、OVAとして販売する試みは多かったが、1998年の「同級生2」の放映開始をきっかけに、主に独立UHF放送局におけるアニメ媒体を利用したメディアミックス的展開が一般化することとなった。

これには、コンシューマーゲーム機へ移植される作品が増加する中、アニメ化の素材としてこれらの作品に着目したアニメ製作会社と、収益チャンスの拡大を望むゲーム製作会社の利害が一致した、という背景がある。

このような流れのなか、18禁の要素よりもストーリーの内容や「萌え」要素を評価された作品である『To Heart』、『こみっくパーティー』、『君が望む永遠』がUHFアニメとしてTV放映された。(To Heart は1999及び2004、こみっくパーティーは2001及び2005、君が望む永遠は2003年放映)なお、アダルトゲームを原作とするTVアニメの大部分はUHFアニメとなっている。これは、キー局よりも放映権料が安価なうえに、DVD化して販売する収益を計画に組み込みやすいからだと考えられる。なお、UHFアニメ以外ではBS-iがこの類のアニメに寛容である。

また、アニメーション脚本家のあかほりさとるが原作脚本を担当した『らいむいろ戦奇譚』(エルフ、2002年)は、ゲーム発売の発表と同時にテレビアニメーションの制作を発表し、アニメ版の声優にアイドルユニットを組ませるなど、本格的なメディアミックスを図った最初のアダルトゲームであり、これもUHFアニメとして放送され、物議を醸した。

このようなメディアミックス的展開は広がりを見せ続けており、ついには『Piaキャロットへようこそ!!3』(F&C FC02、2001)が原作ゲーム発売の翌年に劇場アニメ化されるまでに至った。アダルトゲームの劇場アニメ化はこれが初である。加えて、2005年2月には『AIR』(key 2000)の劇場アニメが上映された。

さらに、2005年1月からは、ボーイズラブ系(女性向け)のアダルトゲームからアニメ化された作品としては最初のものとなる『好きなものは好きだからしょうがない!!』(プラチナれーべる、2000)がUHFアニメとして放映された。

なお、アダルトゲーム(特にマルチヒロイン型のアダルトゲーム)を原作とするアニメは粗悪なハーレムアニメになりやすいこともあり、このような風潮は一部のアニメオタクから激しく批判されているところである。

一方で、メディアミックスに消極的な会社が存在するのもまた事実である。それは「このようなソフトウェアは、たとえ内容的に素晴らしかろうとあくまで日陰に存在する物であり、大手を振って認知されるべき物ではない」という主張に基づく。しかし、以前はメディアミックスに消極的だったブランドの典型ともいえるアリスソフトが、2002年頃より自社作品のOVA化を進めたように、流れが変わりつつあるのは確かだ。

さらには、アリスソフト、ビジュアルアーツ、Leaf ブランドによる合同企画であるTCGリセ(lycee)を立ち上げたように、映像媒体以外にもメディアミックスは広がりを見せている。

アダルトゲームとギャルゲーの境界線

プレイステーション用ソフトとして発売された『久遠の絆』(FOG、1999)は、いわゆるギャルゲーであって18禁ゲームではないが、実質的に『To Heart』、『Kanon』などに近い、シナリオを前面に打ち出して「恋愛」「萌え」要素と「泣かせ」要素を組み込んだ作品で、「泣きゲー」を好む成人向けゲームユーザーからも高い評価を受けた。

また、後に一般向けゲーム、ギャルゲーとしてコンシューマーで発売された『To Heart』や『Kanon』は、成人向けとして発売されたコンピューターゲームでも性的描写が希薄な作品で、ギャルゲーとの違いは明確ではない。

このようにアダルトゲームは、ギャルゲーと呼ばれるゲームとも関連が深い。最近では前述したメディアミックスの要素を重要視したあまり、性的要素が希薄なアダルトゲームが広く普及していて、一部過激派からはエロチズムを全面的に廃止すべきという本末転倒な話題も度々出ている。

また、『To Heart』の正統な続編にあたる『To Heart2』(2005年2月現在、PS2のみ、CEROは15)や、Keyが開発した『CLANNAD』(2005年2月現在、PC(Win)のみ)は一般向けになっており、メーカーサイドにおいてもアダルトゲームとギャルゲーの境界線はあいまいになりつつある。

その他

関連項目

黎明期において、日本国内のパソコン市場における覇権を争っていた8bitパソコン普及に伴い、これらのパソコンを手に入れたアマチュア・プログラマーが、盛んに同種ソフトウェアを開発・販売していた。この中には、後に大手ゲーム・ソフトウェア企業を興した人もある。

アダルトゲームに関する一覧

スタッフ関係の一覧

その他成人向け関連項目

外部リンク

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